医療従事者になれば、日々の業務を通して、さまざまな患者さんと接することになるでしょう。
中では、学習障害を持つお子さんに出会うこともあるかもしれません。
学習障害は、読み書きや計算などが困難になる状態で、その子が怠けてそうなっているわけではありません。
この特性を「困ったこと」と捉えるのではなく、その子の個性として捉えることが、患者さんとその家族との良い関係を築く一歩になります。
一人ひとりが違うように、学習障害を持つお子さんも、それぞれ得意なことや苦手なことが異なります。
その子の持つ独自の特性を理解し、尊重する姿勢がとても大事なのです。
学習障害を持つ患者さんとの関わりにおいて最も大切なことは、理解しようと努めることです。
たとえば、文字を読んだり書いたりするのが苦手な患者さんの場合、口頭での指示を増やす、絵や写真を使って説明するなど、伝え方を工夫してみましょう。
なかなか理解できないときでも、焦らず繰り返し説明し、別の方法を試すことが大事です。
そして、知っておいてほしいのが、学習障害を持つ本人が、周囲の反応にとても繊細であること。
学習能力を持つ多くの子どもが、うまくできないことをからかわれたり、叱られたりした経験を持っています。
この経験によって、自信をなくし、自己肯定感が低くなってしまっている事例が珍しくありません。
だからこそ、医師や看護師は温かい言葉や理解のある態度を取り、患者さんを安心させる必要があります。
小さなことでも「よくできたね」と具体的に褒め、できたことを一緒に喜びましょう。
そうすることで、患者さんは「自分はできるんだ」という自信を養い、スムーズにステップアップしていくことができます。